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持続可能な社会づくりを目指す、西川コミュニケーションズのSDGs
SDGs 2022.01.21

持続可能な社会づくりを目指す、西川コミュニケーションズのSDGs

持続可能な世界を実現することを目指し、2030年までに達成すべき具体的な目標として設定された「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」。企業にとっても新時代を生き抜くために欠かせないファクターであり、各社から工夫を凝らした取り組みが発信されています。
西川コミュニケーションズでは2021年2月に「SDGsを考える会」を立ち上げ、本格的にSDGsに向き合い始めました。何にどう取り組めばいいのか模索しながらのスタートでしたが、約一年が過ぎた今ではさまざまな取り組みが形になってきています。今回はSDGsの取り組みの責任者であり、「SDGsを考える会」推進メンバーでもある鈴木勝也執行役員に、西川コミュニケーションズのSDGsについて聞きました。

西川コミュニケーションズのSDGsに対する基本的な考え方

―――まず、西川コミュニケーションズではどのような考えでSDGsに取り組んでいるのでしょう?
鈴木: もともと当社は「価値ある存在を目指す」を企業理念に掲げ、取引先はもちろん、社会に対しても役立つ存在になること、また従業員それぞれが社会生活の中で存在感ある人間になることを大切にして企業活動を行ってきました。

これはSDGsの推進で再び注目を浴びている近江商人の『売り手よし、買い手よし、世間よし』の「三方良し」の心得にも通じるものであり、西川コミュニケーションズは創業当初からこれらに通じる理念を持っていたのです。つまり会社の成長がすなわちSDGsの推進となると考え、本業、経営そのものにSDGsの考えを組み込んで取り組みを進めています。

―――単なる社会貢献や環境保護ではなく、ビジネスそのものに深く関わってくるということですね。
鈴木: 2019年12月に改訂された日本のSDGs実施方針では「企業が本業を含めた多様な取り組みを通じてSDGs達成に貢献する」ことが重要であると記されています。また、SDGsの理念に基づいて生まれる商品やサービスは、それ自体の社会的ニーズが高く、これは大きなビジネスチャンスでもあります。
逆にいうと今後さらに社会的・環境的な制約が厳しさを増していく中で企業が生き残っていくためには、SDGsの理念に基づいた価値の創出が不可欠になるのではないでしょうか。

さらにこれは私の個人的な想いですが、もともと経済活動というのは必ずしもプラスばかりを生みだすわけではなく、地球や人、生物に対して大なり小なり何かしら負の影響を与えることを避けられないものではないでしょうか。

例えば当社の本業である印刷工場からは廃棄物が必ず出ます。であればやむを得ず生み出してしまう負の要素を減らす努力が必要でしょうし、生み出す負と引き換えにプラスになるものを補填することも必要ではないかと思っています。そういうことを通じて、持続発展可能な社会づくりに貢献していけたらと考えています。

取り組みを加速させた「SDGsを考える会」の発足

―――「SDGsを考える会」はどのようにして生まれたのでしょうか。
鈴木: 当社では、経済的な利益だけでなく社会全体の利益に貢献しようという考えのもと、以前からさまざまなチャレンジをしてきたのですが、いざ本格的にSDGsに取り組もうとなったときに、必要になったのが推進メンバーでした。そこで2021年1月に社員から有志のメンバーを募集しました。

有志としたのは「SDGsとは何か?」を学ぶことから始める必要があったためです。その当時はまだまだ社内でのSDGsの認知度は低かったのですが、その時点で既にSDGsに興味を持っているアンテナの高い人であれば、きっと前向きに活動に取り組んでくれるという期待がありました。そしてまずは旗振り役となる人たちにSDGsに対する理解を深めてもらい、その人たちを中心に徐々に全社的な活動へと広げていこうと考えたのです。

メールや張り紙、口頭などでメンバーを募集したところ、ぜひやりたい! と言ってくれた人が想像以上に多かったのは意外でした。結果的に応募者と私、そして社長もメンバーの一人として名を連ね、現在は26名で活動しています。

―――どのように活動しているのでしょうか。
鈴木: まずは当社として取り組めそうなことを洗い出し、それに基づいて四つのグループをつくりました。そしてメンバーからSDGsの項目のうち何に興味があるかを聞き取り、できる限り意に沿うよう各チームに振り分けました。

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この会は通常業務とは別の自主的な活動なので、回数や時間、進め方などは基本的にチームの自主性に任せています。まず"考えてやってみました"ということを優先しよう、というスタンスなのです。成果を求めることもしておらず、わりと自由に活動しています。

私としても、楽しく活動してほしいということを必ず皆さんに伝えています。実際、先日のチーム会では「もし学生時代の修学旅行だったら、このメンバーで同じ班になりたいよね」という話が出るほどチームワークが良く、楽しみながら活動できているのではないでしょうか。

―――具体的な取り組み事例を教えてください。
鈴木: まだ実際の活動は始まったばかりなのですが、いくつか手応えを感じられるような動きが出てきました。

  • フードバンクへの寄付
    家庭や個人で食べきれない食材などを社員に持ち寄ってもらい、「認定NPO法人セカンドハーベスト名古屋」様に寄付する活動を2021年の夏から始めています。

  • 「SDGsを考える会」の活動を発信する社内ポータルサイト
    SDGsの基礎知識をはじめ、考える会のメンバーや各チームの活動内容などについて紹介するための社内ポータルサイトを制作しました。

  • 社員向け「SDGs社内セミナー
    愛知県の政策企画局の方を講師にお招きして、2022年1月にSDGsスタートアップセミナを実施しました。
    ただの押しつけのセミナーにならないよう、内容に関しては事前にアンケートを実施して要望を集めました。そのアンケートの回答に「SDGsを事業にどう落とし込めばいいのか」という声が多かったため、その結果を踏まえた内容をお話しいただきました。
    聴講者も多く集まり、SDGsの理解を深めてもらういい機会になったと思います。

220113SDGsオンラインセミナーA3ポスター.png参加を呼びかけるポスターも「SDGsを考える会」で制作し、社内に掲出しました

これらの活動の中でも、フードバンクへの寄付は考える会のメンバーが寄付先を探すところから実施までを行った最初の好事例です。スタート当初は右往左往するばかりで、これだという活動がなかなか決まりませんでしたが、半年ほど経ったころにはこういった好事例が生まれてきました。

やることが見えないうちはなかなかスピード上がりませんが、このフードバンクのようにひとつやり遂げると自信がついて次につながります。最近は私たちの活動にも「一本、芯が通ってきたぞ」という手応えを感じるようになりました。ここから先は、きっと加速していくはずだと期待しています。

本業である印刷における取り組みと「ゼロエミッション印刷」

―――ビジネスに関わる部分ではどのような取り組みがあるのでしょう?
鈴木: 当社のコアな事業といえば印刷の領域です。印刷物の製造工程では、インクや紙などの原材料をはじめ、どうしても廃棄物が発生します。できる限り環境負荷の低い素材や加工方法を取り入れるというのは以前からの課題であり、例えば以下のような取り組みを続けてきました。

  • 環境に配慮したインキ(Non VOCのUV硬化型インキ、植物性インキなど)の使用
  • FSC®認証紙をはじめとする環境に配慮した資材の使用
  • TPSの採用による資源利用のムダ削減
  • 小ロット対応のデジタル印刷機導入
  • 廃棄物のリサイクル促進

このうちTPSはご存知の方も多いと思いますが、トヨタ生産方式(Toyota Production System)のことです。従来の印刷工程では歩留まりや予備の関係である程度の紙をムダにしてしまうことが避けられず、それが課題となっていました。そのほか各部署・各工程で「やむを得ない」という判断や「従来どおり」という認識の元で、目をつぶっていた「ムダ」もありました。それらにあらためて目を向け、少しでもムダが削減できるようにとTPSに取り組むことにしたのです。結果かなりの効果を出すことができ、現在も継続して取り組んでいます。

必要なものを必要なだけ印刷できるデジタル印刷機の導入も、ムダ削減の取り組みのひとつです。社内のムダを削減するのはもちろんのこと、お客様にも「必要以上の量は作らないようにしましょう」と勇気をもって言える会社でありたいと思っています。

―――今後、新たな取り組みなどは予定されているのでしょうか?
鈴木: 先に述べたような、なるべく環境に負荷をかけない印刷というのは以前から心がけてきたことです。そこで改めてSDGsとしての取り組みをと考えたときに、生まれてきたのがこれまでの個別の取り組みをパッケージ化した「ゼロエミッション印刷」プロジェクトです。

ゼロエミッションは「生産活動の結果として排出される廃棄物をなくす」生産方式です。印刷工程で出る代表的な廃棄物といえばCO2、水、紙の三つで、この大きな三つをゼロにする、あるいは循環できるような仕組みづくりを推進していきます。

業界でもまだまだ珍しい取り組みであり、試行錯誤の連続ですが、以下のようなフェーズで進めています。

ゼロエミッション印刷 推進の流れ

STEP1  CO2ゼロ印刷

SDGsの文脈でも世界的な潮流としても、CO2削減は大きな課題です。SBT認証の取得も視野に、早い段階での実現を目指しています。
※パリ協定が求める水準と整合した、5~15年先を目標年として企業が設定する温室効果ガス排出削減目標のこと。

STEP2 ゼロエミッション印刷

印刷工程で出る廃棄物をゼロにし、できるモノはアップサイクルするという循環型のビジネスを作り上げます。

SDGsで重要になる考え方「バックキャスティング」は「未来のあるべき姿から発想し、現在へとつなぐこと」であり、これまでの延長線上ではない「変革」が重要と言われています。

ゼロエミッション印刷はまさにその発想で「ゴミをゼロにできるはずはない」というその考え方こそを捨てる、「捨てるという概念を捨てる」ことから始め、「まずそのあるべき姿を実現するために、現在何をすべきなのか」を考えていきたいと思っています。 

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働きやすい環境づくり、従業員の自己実現の支援

―――では社内、社員に対してのSDGsの取り組みはどのようなものがありますか?
鈴木: 昨今、消費行動のデジタルシフトが進み、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の必要性が日々増しています。当社ではこの状況をいち早く認識し、これもまたSDGsやDXという言葉が話題になる前から人材育成プログラムに取り組んできました。

例えば、グラフィックデザインの制作を担当しているスタッフが動画制作やプログラミングの技術を習得する機会を設けるとともに、就業時間中に学習することを認めたり、書籍購入やセミナーの参加費用を負担したりして、その学習を会社でサポートする体制を整えています。

これは経済産業省の審議会で発表されたリスキリング(reskilling)にあたる取り組みです。「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義されたリスキリングは、まさに激しい変化の流れの中にいる我々にとって重要な取り組みといえると思います。

―――早くからリスキリングに取り組んできたのはなぜでしょう。
鈴木: 新たな時代においても市場価値のあるビジネスパーソンになってほしいという想いがあったからです。Web系の新たなサービスが次々と登場し、印刷以外のコミュニケーションツールの選択肢は今後ますます増えていくことでしょう。当社には印刷に特化した業務に携わるスタッフが多く在席しています。彼らが時代に即した「価値ある存在」となっていくためには、時代の流れに対応していける知識や技能を身に付ける必要があると考えたのです。

実際、新たなスキルを身に付けたグラッフィクデザイナーがシステム開発業務を行うようになったり、マーケティングに携わっていたスタッフがAIの技術を学び、データ分析のスキルを生かしてグループ会社を立ち上げたりしています。それらはスタッフ自身にとっても会社にとってもお客様にとっても価値のある存在になるための行動と言えるわけで、まさに企業理念である「価値ある存在を目指す」を実現していると感じます。

本業から広がる社会貢献活動

―――では最後に社会貢献活動についてお聞かせください。
鈴木: 当社では「bande(バンデ)」というブランド名でマスキングテープを製造・販売をしています。工場が東郷町にあることから東郷町役場にbandeを寄贈し、保育施設の卒園行事や、老人施設の介護予防イベントなどで活用いただきました。

2021年の夏には、音楽のチカラで「心のバリアフリー」を目指す「とっておきの音楽祭」というイベントにbandeを出品し、当日の売上をChild's Dreamという団体を通して東南アジアの恵まれない子ども達を支援する活動に寄付しました。
「とっておきの音楽祭」の詳細はこちら

―――社会貢献活動は海外に向けても広がっているんですね。
鈴木: 順番でいうと、海外への支援活動は日本での活動が充実してくるよりも先に進められていました。Child's Dreamはもともと当社のシンガポール拠点の社員のつながりで知った団体です。カンボジアやラオス、ミャンマーなどメコン川流域に済む子供たちの教育・医療支援活動を実施しており、透明性の高い運営をしていることから、こちらへの支援を続けています。

また、インドにある当社の子会社からは日本語教育の支援も広がっています。子会社があるプネーでは日本語教育が盛んで、子会社のインド人スタッフも現地の日本語学校に通っており、その学校から「生の日本語を聞く機会がない」という相談を受けたことで「インドすきすき会」という支援が始まりました。週に1回、1時間ほどリモートで交流する機会を設け、当社の日本人スタッフ3名とインドの学生3~5名で、互いの国の四季や交通、食べ物などについて日本語で対話をします。※現在はコロナ禍のため中断しています。

またインド人スタッフに対しては、本社のスタッフ3名が週に2回、ビジネス日本語教材などを使った学習などを支援しています。日本で働くことを希望する海外スタッフが多いため、彼らにとって貴重な学びの機会になっていると思います。

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今後の取り組みと西川コミュニケーションズが考えるSDGsの行方

―――このほか注目の取り組みがあればお知らせください。
鈴木: クリエイター向けプラットフォーム「note」の場をお借りして、西川コミュニケーションズのSDGsの考え方や取り組みについてお伝えするプロジェクトがスタートしました。社員はもちろん、社外の方にも幅広く知っていただけるよう、オープン社内報という位置付けで情報を発信しています。

本来であれば広報が担当する業務だと思いますが、リスキリングの一環としてデザイン部署のスタッフが企画・制作をしています。こちらもまだ始まったばかりではあるのですが、今後ますます加速していく西川コミュニケーションズの挑戦を広く社内外へ発信できるよう、さまざまな工夫をしているところです。

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noteへはこちらから

―――今後もさまざまな取り組みが形になっていきそうですね。では最終的に、西川コミュニケーションズが目指すSDGsとはどうなっていくのでしょう?
鈴木: 企業理念である「価値ある存在を目指す」を継続的に実現していくことではないでしょうか。西川コミュニケーションズが創業から115年余りにわたり企業活動を続けてこられたのも、この理念に立ってサスティナブルな経営をしてきたからだと思います。

私たち西川コミュニケーションズは印刷会社としてスタートした当初から、紙媒体を使った情報産業という道を歩み続け、紙にインクを乗せるという手段で人々にさまざまな情報を伝えてきました。伝えたい情報を必要とする人にお届けすることが、 私たちの価値です。その想いは、デジタルという新しい媒体が主流となりつつある今も変わりありません。

私たちは、この先の100年も、そのまた先までも創業以来の精神を大切にし、価値ある存在となるべく企業活動を続けていきます。

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鈴木勝也

西川コミュニケーションズ株式会社
執行役員

印刷会社の営業職として、30年余にわたり大手メーカーの印刷物作成をはじめとする販促活動に携わる。
1990年代後半に訪れたデジタル化の波を「得意先のためになる」と捉え、印刷営業の枠を超えて、制作業務のDTP化や販促素材のデータベース化などをいち早く達成・推進。
その後も新しい技術やサービスを得意先目線で考え続け、さまざまなデジタル化を推進して現在に至る。

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