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「現地現物」で課題をあぶり出す。現場と膝を突き合わせて作る、業務改善アプリの裏側

業務のラストワンマイルを埋める業務改善アプリ
―――まずは、お二人の担当業務について教えてください。
池垣: 私はプロジェクトマネージャー(PM)として、自動車販売店様向けの業務改善アプリの開発を担当してきました。システムエンジニア(SE)と一緒に実際の現場に入り込んで課題を抽出し、要件定義を作り込んでプロダクトを形にしていく役割ですね。
鈴木: そして、そのプロダクトの拡販を担うのが、営業チームの私の役割です。似たようなお困りごとを抱えている全国の販売店様へ、この業務改善アプリをお届けするフェーズの中で西日本エリアを担当しています。
―――その自動車販売店様向けの業務改善アプリとは、どのようなものでしょうか?
池垣: 販売店様の日々の業務をサポートするアプリです。営業スタッフのタスク管理を一元化する「営業ステータス管理」や、伝票をOCRでテキスト化して基幹システムへ自動転記する「入力補助機能」など、現場の課題に合わせて選べる7つの機能をご用意しています。
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ローコード開発プラットフォームの「Claris FileMaker®」を基盤としており、大規模なシステム構築は必要ありません。現場の環境に合わせて、柔軟かつスピーディに導入していただけるのが特長です。
Claris FileMaker®を活用した業務改善についてはこちらの記事もご覧ください
「業務効率化」を迅速かつ柔軟に実現!寄り添うローコード開発で企業のDXを加速する
―――メーカー様からもそういったサポートツールは提供されているのではないでしょうか。それらと比較した際の強みや違いはどこにあるのでしょう。
池垣: もちろん、業務のコアとなるのはメーカー様の基幹システムです。しかしコアの部分と、実際の現場に存在する周辺業務との間には、どうしても業務のラストワンマイルで、現場との隙間が生じます。この業務改善アプリはそれを埋めるものなんです。いうなれば「かゆいところに手が届く」存在ですね。
―――例えばどのような業務でしょう。
池垣: 自動化のニーズが高いものといえば、営業活動におけるタスク管理などですね。車のご成約から納車へ至るまでに、営業スタッフは車庫証明の取得や前金の入金確認、希望ナンバーの申請といった細かい作業を数多く抱えています。上司がこれらの進捗を管理するために、口頭でヒアリングして手書きのメモに書き留めておく、なんてアナログな運用が今でも珍しくないんですよ。この業務改善アプリでも、こうしたタスク管理の機能は特に求められている部分です。
「現地現物」を貫く、現場密着型開発の裏側
―――ではその「かゆいところに手が届く」アプリはどのように開発されたのでしょう?
池垣: 2025年から取り組みが始まりました。とある販売店の経営陣に「現場の業務改善を一緒にやっていきましょう」とご賛同いただき、PoC(概念実証)のような形でスタートしました。
まずはアンケートを元に徹底的にヒアリングしました。どの業務のどこに手間や面倒を感じているかを吸い上げ、コアとなる困りごとを抽出して最初のターゲットを絞り込みました。
そして店舗のバックヤードに深く入り込みまして。私と開発SEが、ターゲットとなる業務を担当しているスタッフの横に座り、実際の作業を見せていただいたんですよ。
―――デスクの横からですか! それはまさに密着開発ですね。
池垣: 文字通り膝詰めです。3日ほど朝から晩まで一緒に過ごし、「この作業は大変ですよね」「ここを自動化できたら楽になりませんか?」なんて会話をしながらひとつひとつ業務を見せていただきました。第三者の目でワークフローを見つめ直すことで、課題の解像度をぐっと上げていったんです。
同席したSEもすごくクリエイティブな人で、その場で「じゃあ、こうしていきましょうか」とどんどんアイデアを出してくれました。そうしてすぐにプロトタイプを作成し、現場の方に触っていただいて、生の意見をお聞きしてまたブラッシュアップしていく......トライアンドエラーのサイクルを現場とともに繰り返していきました。
―――そこまで入り込むには、現場のスタッフの方のご協力も不可欠ですね。
池垣: そうなんです。現場の方々の協力がなければ成り立ちませんでした。本当に感謝しています。
―――書面やアンケートと実際の現場とでは、やはり違いましたか?
池垣: まったく違いますね! アンケートでは表面化していなかったお困りごとに気づくことがたくさんありました。現場の方々にとってはそれが当たり前になってしまっていて、課題として意識されていないことも多いんですよ。
それに、私たちが「この作業、大変なのでは?」とたずねたとき、「そうなんですよ」なんて大きく頷かれる姿を見ると、ここが改善されると本当に喜んでいただけるんだなと肌で感じられたことも大きかったです。
―――言語化されない情報まで汲み取ってきたわけですね。これほど密着するケースは珍しいと思うのですが、そこまで現場を大事にするのはなぜなのでしょうか。
池垣: やはり、自分たちの目と耳で事実を押さえて、現場を正しく理解しなければ、作ったものが本当にユーザーのお役に立てるツールになっているのかがわからないと思うんです。
私は個人的に「現地現物」という言葉を一番大事にしています。どれほど立派なシステムを作っても、現場の運用に合わず使われなければただの箱になってしまう。形骸化させないためには、開発者自身が現場の痛みに共感して、一緒に作っていくプロセスが不可欠なんです。やっぱり、現場を知っているということが一番強いんですよ。

開発チームと営業チームも日々連携し、意見を出し合いながら拡販しています
創業120年のDNA。全社で貫く現場目線と寄り添う姿勢
―――現場を大切にする姿勢はNICOの大きな特色でもありますね。過去の記事でも、現場に寄り添ってきたというお話はよく出てきます。
池垣: 120年前の創業以来、ずっと引き継がれてきたDNAなんでしょうね。このプロジェクトも、これまで諸先輩方がお客様と築いてきた信頼関係という土台があったからこそできたことですし。
鈴木: NICOでは販促物や店頭ツールなどの印刷事業を通じて、自動車販売店様と長年のお付き合いがありますからね。会社として現場にどういった課題があるのか、それをどうすれば解決していけるのか、そのヒントとなる種はあったように思います。
―――SEまで現場に赴くスタイルも、そうした現場重視の文化から生まれているのですね。
池垣: SEがここまで現場に入り込むことは、他社ではなかなかないと思いますよ。
これはNICOの大きな強みですし、私としても心強いです。PMの力だけでは、ここまで現場の困りごとを反映させたプロダクトにはできなかったと思うので、本当に感謝しています。
鈴木: そもそも、このアプリ開発の原点はNICO自身の業務改善にあるという点も大きいですよね。自分たちの業務を自動化してもっと効率よくしていこうという試みからすべてが始まっているんですよ。だからこそ、技術先行のいわゆる「ツール屋さん」とはスタート地点が違います。
池垣: そうなんですよね。技術先行型のSEだと「こんな機能も付けられますよ」と技術をアピールしがちでしょう。でもNICOの開発チームは現場の忙しさを知っているからこそ、むやみに機能を追加することよりも、ひとつでもクリック数を減らすシンプルさを大切にしてくれました。必要最小限でしっかりお悩みを解決する形を目指しているんです。
―――現場を知っているからこその設計なのですね。実際に利用されている現場からはどんな声が届いていますか?
池垣: 工数の削減はもちろんですが、アプリに従って操作することで業務の平準化にもなっていることを評価いただいています。特に若手を中心に「誰かに聞かないとわからない状況がなくなり、ストレスが減った」といった声をいただいています。

システム導入を成功させる定着化のアプローチ
―――一方で、素晴らしいシステムであっても現場に定着しないケースもあるのが事実です。乗り越えるためのポイントについてはどうお考えですか?
池垣: システムありきで導入が進んでしまうと、現場に「新しい業務を押し付けられた」「入力の手間が増えただけ」と感じさせてしまうのはよくあることですね。企業様ごとに社風や文化が違うのでどれが正解というのはないのですが、個人的に効果的だと思うのは以下のふたつです。
ひとつは、経営陣と現場との理念の共有ですね。
今回のプロジェクトでも、スタート時に経営陣から現場スタッフの方々へ業務改善への想いをしっかり語っていただいたことが非常に大きかったです。
ふたつめは、現場のキーマンを巻き込むこと。
影響力のある方にメリットを実感してもらい、周囲へ発信してもらう。上から指示されるより、信頼する先輩や仲間から勧められたほうが若手にも響きますから。
そこで改善効果を実感した若手から「このアプリ評判いいですよ」と声が広がっていくことで、うまく現場に浸透させていったという事例を知っています。トップダウンでキーマンを巻き込み、そこから現場主導のボトムアップの波を作っていくイメージですね。
―――上からのメッセージと現場からの広がりを、うまく連動させるわけですね。
池垣: はい。それと、いきなり全社一括で導入するのではなく、まずは1〜2店舗でスモールスタートさせることが多いですね。ミニマムな環境で検証し、「実際に作業が楽になった」という成果が出始めてから全体へ広げていくことで、現場の心理的ハードルを大きく下げることができます。
鈴木: あとはもちろん運用のフォローも欠かせませんよね。私たち営業が現場に寄り添い、個別の事情に合わせたサポートを全力で行っていきます。

単なる時間短縮ではなく、人にしかできない仕事のために
―――どのような形で現場の定着や改善をサポートしていくのでしょうか。
池垣: 定期的にコミュニケーションをとり、利用データを見ながら「どこが使われていないか、それはなぜか」を一緒に分析します。結果をもとにアプリの改修をスピーディに進めつつ、現場のフローの見直しが必要となればそれもご提案していく流れですね。
鈴木: サービスについてのご質問や問い合わせなどは、私たち営業メンバーが窓口となってサポートしていきます。現場のリアルな声や個社ごとの違いも開発チームへフィードバックし、共通する課題はアプリのアップデートへ反映させるという密な連携をとっています。
―――現場の声に合わせて、アプリもアップデートし続けていくわけですね。
池垣: そうですね。どれだけ入念なヒアリングをして作り込んでも、さまざまな方に使っていただくと、また違った声や新たな課題が上がってくるものですから。
鈴木: 一見、同じような業務でも、会社ごとに処理のフローやスタッフの体制が違いますからね。そのあたりは営業がお客様へヒアリングをしていく中で、初めて見えてくる部分でもあります。
池垣: ただ特定の1社だけのオーダーで根本の仕様を変えることは原則していません。他社も含めてヒアリングを重ね、他の販売店様でも共通する課題だと確かめられたものを機能追加していくアプローチをとっています。
鈴木: だからこそ商品のコンセプトはブラすことなく、汎用性の高いアプリとして全国の販売店様に順次ご紹介やご提案をしております。
―――そうした継続的な共創の先に、お客様へどのような価値や働き方の変化をもたらしていきたいと考えていますか?
池垣: これはNICOのDX事業全般に対する考え方なのですが、単なる作業時間の短縮がゴールではないんです。自動化できる確認作業などはアプリに任せ、エンドユーザーとしっかり向き合ったり、スタッフ同士のコミュニケーションを深めるといった人にしかできない仕事に集中する時間を創出することが本質だと考えています。
私が見聞きしてきた現場のひとつに、抜本的な現場改善によってES(従業員満足度)を上げ、結果として業績もCS(顧客満足度)も大きく飛躍させた販売店様がありました。
システムが現場のストレスを軽減することで、働きがいや心のゆとり、つまり働く方々のウェルビーイングやESの向上に貢献する。そして、現場のスタッフが生き生きと活躍できる環境が整っていくことで、そこにやってくるお客様のCS向上にもつながる。このアプリを通して、そういった好循環を生み出していきたいですね。
業務改善アプリについてのお問い合わせはこちら
お問い合わせ池垣拓磨
西川コミュニケーションズ株式会社 モビリティDX事業部 モビリティソリューション部 DXビジネスグロースグループ 入社以来、企画営業職としてキャリアを重ね、20年~24年に某自動車メーカーへの出向にて新規事業企画業務に従事。その経験を活かし、自動車業界を中心に商品企画およびPM業務を担当。
鈴木拓也
西川コミュニケーションズ株式会社 モビリティDX事業部 モビリティソリューション部 モビリティ第2営業グループ 西日本エリア担当 営業職として10年余り、大手家電量販店のプロモーション、販促物作成に従事。 2022年より西日本エリアを中心に自動車メーカーや販売店様のプロモーションおよび販促支援を担当。