BLOG

3DCG 2026.06.24

実写レベルの3D空間を手軽&低コストに生成!次世代技術「3DGS」とは

実写レベルの3D空間を手軽&低コストに生成!次世代技術「3DGS」とは
観光地のVR案内や不動産・施設のバーチャル内覧、製造業のデジタルツインなど、さまざまなシーンで現実空間を3Dモデル化してビジネスに活用する取り組みが進んでいます。
しかし、3Dモデル化を検討したものの「細かい設備をきれいに再現できない」「コストや時間がかかりすぎる」といった壁にぶつかったことのある企業も多いのでは。

こうした中、注目されているのが新技術「3DGS」、3D Gaussian Splatting(ガウシアン スプラッティング)です。
実写と見紛うほどの圧倒的な美しさと、動画を撮るような手軽さを両立したこの新技術は、これまでの課題をどうクリアし、ビジネスをどう変えていくのか?

本記事では、この3DGSの基本的な仕組みや従来の技術との違い、そしてビジネスにおける具体的な活用アイデアについて、西川コミュニケーションズで3DGS活用を推進する野上正義が詳しく解説します。

再現力と制作コスト。従来の3Dモデル化技術の課題

―――現実空間を3Dで再現してどこからでも見られるようにする試みは、以前から広く知られていますよね。
野上:
 はい。現実空間を写し取って3Dモデル化する技術は以前から存在しており、先進的な企業などはさまざまなアイデアでビジネスに活用してきました。

私たちが推進してきた、製造業におけるデジタルツイン※もそのうちのひとつです。ほかにも文化財のデジタルアーカイブや店舗のPRなど、幅広い分野で導入が進んでいます。

※デジタルツイン:現実世界から収集したあらゆる情報・データをもとに、仮想空間上に現実空間を再現する技術。


―――では、これまでの3Dモデル化と、今回お話を伺う新技術は何が違うのでしょうか?
野上:
 何よりもそのビジュアルの美しさ、そして3Dデータ生成の手軽さです。実はこれまでの3Dモデル化で主流だった「点群(てんぐん)スキャン」「フォトグラメトリ」といった方式には、この部分に課題があったんです。

【従来の方式とそれぞれの課題】

点群スキャン(LiDAR※等)

3Dレーザースキャナーを用い、対象物を「点」の集合体(点群データ)として3Dデータ化する技術。主に測量分野で使われ、超高精度・広範囲のスキャンが可能。
・「点」と「色」だけで空間を表現するため、形状や質感が直感的に伝わりにくい
・配管などの細い管や複雑な形状の表現が難しい
・撮影には数百~数千万円の高額レーザースキャナーが必要
・データ容量が非常に重い

※LiDAR:レーザー光の反射を利用して対象物までの距離や形を高精度に測定する技術

フォトグラメトリ(3Dポリゴンメッシュ生成)

さまざまな角度から撮影した2D平面の画像をもとに3Dモデルを生成する技術。写真から3Dモデルの表面の質感や色合い(テクスチャ)に反映するため、リアルな表現が可能。
・現実に近いきれいな3Dモデルを作るには、さまざまな角度から数百枚の写真を撮影する必要がある
・水やガラスといった透明な物体や反射する金属、配管などの複雑な形状の再現が難しい
・データ生成には膨大な計算時間や手作業によるノイズ除去が必要
・高精細になればなるほどポリゴン数が多くなり、データ容量が非常に重い

 
左:点群データのイメージ/右:フォトグラメトリのイメージ

共通して言えるのは、透明感や光の反射、そして複雑な形状や細かなディテールの再現といった繊細な描写が苦手なこと。そして、データ量が膨大で、撮影後に手作業による編集が必須であることです。撮影するだけでは使えず、実用にたえるデータに仕上げるまでにはかなりのコストと時間がかかります。


―――なるほど。ちなみに、不動産のオンライン内覧などでは360度のパノラマ写真もよく見かけますよね。こちらはいかがですか。
野上:
 そうですね。360度パノラマ写真や動画は比較的低コストで作成できるため、費用を抑えたい場合によく使われています。しかし、これはカメラを中心に全方位を写し取ったものであり、撮影した定点からしか空間を見ることができません。自由に動き回って見たいところを自由な角度で見るというわけにはいかないんです。

現実の空間を、ありのまま仮想空間へ再現することには課題が多かった。そんな中で登場したのが「3DGS」、3D Gaussian Splatting(ガウシアン スプラッティング)です。


3DGS(3D Gaussian Splatting)とは

―――3DGSはこれまでの3D表現方式とは何が違うのでしょうか?
野上:
 従来の3Dモデルは点(点群)や面(ポリゴン)の組み合わせで形を作ってきました。3DGSはこれらとはまったく異なり、色・透明度・方向などの情報を持った「楕円形の面(スプラット)」を、無数に重ね合わせて空間を表現しています。

点の隙間をふわっとした楕円体で埋めるように拡張するイメージですね。これによって、従来の方式では難しかった繊細なディテールを格段に美しく再現できるようになりました。
こちらが実際の3DGSによる動画です。※音楽が流れます。ご注意ください。

―――確かに、従来のいかにもCGっぽい質感とは明らかに違いますね。
野上:
 実写とほとんど変わらない仕上がりでしょう? 私も初めて3DGSによる3D空間を見たときには驚きました。特に水やガラスの透明感、金属の反射といった質感や、植物の枝葉といった複雑な形状に違いが見て取れると思います。

 
左:3DGSによる再現/右:同じ場所の写真

しかも手軽さも実写並みです。実写の動画を撮るように歩くだけで撮影が可能な上、撮影したデータをAIに最適化させることで、最短で翌日にはハイクオリティな3D空間ができあがります。手作業によるデータ編集やノイズ除去が必要ないため、制作期間もコストも大幅に抑えられるんです。

▼3DGSの特長について詳しくはサービス紹介ページもご覧ください

3DGS生成「次世代3Dスキャンサービス」 | 西川コミュニケーションズ株式会社
最短2日のスピード納品。最新の3DGS技術で、製造現場や文化財を高精細にデジタル化します。低コストでの3Dスキャン撮影からVR活用までワンストップで全国対応。
www.nishikawa.jp


―――「ビジュアルの再現性」「生成までの工数」「制作コスト」。これまでの3Dスキャンで課題だった部分がすべてクリアされているわけですね。すでに3Dスキャンの主流は3DGSに置き換わっているのでしょうか?
野上:
 いえ、まだまだ一般的に普及しているとは言えません。2023年頃に技術が発表されましたが、スキャンカメラ等のハードウェアも含め、日に日に進化を遂げている発展途上の最先端技術であり、浸透していくのはまさにこれからです。

そして重要なのは、単純に既存の3Dスキャンが3DGSに置き換わっていくのではないということです。まったく新しい活用の可能性を持った存在だと感じています。


3DGSがもたらす、3D空間再現の新しいあり方

―――新しい活用の可能性ですか。実際のビジネス現場ではどのような変化が起こっているのでしょうか?
野上:
 私が感じている一番の変化は、これまで3D化できないと思われていたものが再検討されるようになってきたことですね。

例えば、これは実際に私が経験したエピソードです。ある企業様から「工場のプラント内を点群スキャンで3Dモデル化しようとしたが、細かな配管がきれいにデータ化できず、使い物にならなかった」というお悩みをお聞きしました。そこで3DGSをご提案したところ、その再現力に驚かれ、すぐにデモ撮影へと話が進んだということがありました。


―――工場の複雑なリアルをそのまま再現できるのは、デジタルツインの領域でも強みになりますね。
野上:
 まさにその通りです。正確な図面がなかったり、機材の追加などで日々変化したりする製造現場を3Dモデルで再現するのはこれまで大変でした。しかし3DGSなら、稼働を止めることなく製造現場を撮影し、最短で翌日には自由に空間内を歩き回れる3Dモデルが完成します。

そもそも「現実世界とそっくりな空間を仮想空間上に再現する」というデジタルツインの定義に則ると、3DGSは撮影したデータがもうそのままデジタルツインですしね。


―――クオリティもスピードも、これまでの3Dモデリングとは別次元なものになるわけですね。
野上:
 そして制作コスト感もまったく違います。3Dモデルの生成はもう面倒なものではなくなってきているんです。これまでスマホやデジカメで現場の記録写真を撮っていたのと同じような感覚で、立体的な3D空間が作れるようになってきています。

まずは私たちが推進してきたデジタルツインの例でお話ししましたが、さまざまな業界、あらゆるシーンで活用が進んでいくと思いますよ。

手にしているのが3DGSの撮影用カメラ。手に持って歩きながら撮影ができる

3DGSの活用シーンと、具体的な導入のアプローチ

―――あえて具体例を挙げるとすると、どういった活用ができると考えられていますか?
野上:
 「ある空間を、実際に現地にいるのと同じ感覚で見回したい」「Webサイト上で、商品をあらゆる角度からリアルに見せたい」といったニーズがあれば、業界を問わずどこでも活用できます。
私たちが描いているのは以下のようなシーンでの活用ですね。

ショールーム・施設集客
世界中の顧客が自由に歩き回れるバーチャルショールームを構築し、空間や製品を自由に鑑賞できる環境を提供。

博物館・美術館・文化財
歴史的建造物や貴重な美術品を、筆致や素材の凹凸、空気感まで伝わる実写クオリティで永久的にデジタルアーカイブ。バーチャルミュージアムとしての公開にも。

不動産・ホテル
現場に行かなくても、空間を内覧・閲覧できるため、プロモーションツールとして移動コストの削減・成約率の向上に活用。

映像・広報・販促PR
天候に左右されずいつでもカメラアングルを検証できるロケハンツールとしてコスト削減。バーチャルプロダクションやVFX、プロジェクション演出などに活用。

工場のデジタルツイン
遠隔地からの保全・設備点検や、新規設備導入時の干渉チェックシミュレーション。

新人研修教育・技術伝承
危険エリアやクリーンルームをバーチャル再現し、物理的リスクのない安全教育や手順確認を実施。


―――業界によって刺さるポイントはさまざまですね。ただ、自社に当てはめるとなると、具体的にどう進めればいいのか迷ってしまいそうです。
野上:
 そんなときに私たちがお勧めしているのは大きく分けて以下の二つです。

まずは「新工場や新社屋が完成したタイミング」でのメモリアルな撮影です。
何もないまっさらな状態をデータ化しておいた方が、その後レイアウト変更など何をするにしてもベースとして使いやすいんですよ。こうしたタイミングを控えている企業様には、ぜひ今のうちにアーカイブしておきましょうとご提案しています。
またその逆、建て替えのために取り壊す直前に、メモリアルとしてデータを残しておくこともいいですよね。
撮影した3DGSデータを簡単にホームページにも掲載できるので、まずは見える化し、バーチャル見学などのプロモーションに気軽に活用できます。

それから、「仮想空間上に、現実のそっくりさんを作ってみる」こと。
現場を仮想空間で再現してみると、これまで見えていなかったところが見えてくることがあります。工場の場合は「ここのスペースは無駄に空いているな」とか「この通路は実はお互いすれ違いづらくて効率が悪いな」といった気づきですね。実際に稼働している工場をうろうろと歩き回るわけにはいきませんが、仮想空間なら自由に安全に歩き回れます。ぜひそこから始めてみていただきたいですね。
従来の方法ではとても気軽にどうぞとはお勧めできませんでしたが、3DGSならまず試してみませんかとお勧めできるコスト感になっています。

 
左:3DGSによる再現/右:同じ場所の写真


進化を続ける3DGSと、お客様に寄り添うNICOの強み

―――まさに無限の可能性が広がっていますが、3DGSが苦手なことはあるのでしょうか?
野上:
 あえて挙げれば、正確な距離や寸法の精度に関しては、点群データによるスキャンのほうが優れているという側面があります。

しかし、現在は3DGS用のカメラにLiDARセンサーを併用することで、その精度を補う技術も出てきています。もちろんNICOでもその手法を導入しています。3DGSならではの圧倒的な手軽さに、精度を加味したより実用性の高いデータが生成できるようになっています。


―――3DGSは日に日に進化を遂げているとお話がありましたが、まさにそうして進化しているのですね。では、ますます今後の活用が期待できますね。
野上:
 はい。繰り返しになりますが、活用の可能性はますます広がっていくでしょう。

NICOでは社内に研究開発体制を構築し、常に最新のトレンドや技術検証を重ねています。そうした確かな技術力を土台にしながら、3Dモデルの生成から、それをどうビジネスに活かしていくかまで、お客様と一緒に考えていくのが私たちのスタイルです。

そして、私たちの強みとなるのが表現のクオリティです。私たちはもともとプロモーションの業界でビジュアライゼーション、つまり表現やデザインのクオリティを追求してきた会社です。だからこそ、ただ空間をデータ化するだけでなく、現場の人間が直感的に状況を把握できる「見やすく、扱いやすい3Dデータ」の構築を得意としています。

ざっくりとしたご相談で構いません。まずはその手軽さを実感していただけるデモ撮影から、気軽に試してみませんか。どうぞお気軽にお問い合わせください。

3DGS生成「次世代3Dスキャンサービス」についてのお問い合わせはこちら

お問い合わせ

野上正義

西川コミュニケーションズ株式会社
デジタルツイン部 セールスエキスパート

大学卒業後、Web/EC領域でマーケティング・制作・広告運用・データ解析に従事。要件整理〜提案〜運用改善まで一気通貫で売上拡大と組織マネジメントを経験。2019年より、XR・デジタルツイン・AI分野に可能性を感じ営業に転身。デジタルツイン部に配属後、最先端技術のソリューション提案を行うセールスエキスパートを担当。