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 販促施策に隙間を作らない。トータルサポートの精神から始まった、浜松支社の動画制作とは
マーケティング 2023.11.14

販促施策に隙間を作らない。トータルサポートの精神から始まった、浜松支社の動画制作とは

Web広告やサイト、SNSといった販促におけるデジタル施策において、ますます重要性を増している動画コンテンツ。動画制作を請け負う企業も数多く存在しています。その中で、西川コミュニケーションズの浜松支社では、アナログやデジタルも横断した幅広い販促施策と連動する動画制作を進めてきました。

印刷物の制作から始まり業務の幅を広げてきた浜松支社が、動画制作をどのように進めてきたのか。今回は、浜松支社でプロジェクトの立ち上げ時から動画制作に携わってきた、浜松制作グループのリーダー矢野泰司とディレクター横井惠理子に話を聞きました。

浜松支社の紹介と動画実績について

―――まずは浜松支社の概要について教えてください。
矢野: 静岡県浜松市の南部、日本三大砂丘のひとつ中田島砂丘のほど近くにある、西川コミュニケーションズ(以下、NICO)の国内拠点のひとつです。

主な業務は、自動車メーカーやカーディーラーの販促サポート。紙のカタログやチラシ、DMといった印刷物のデザイン制作や、ノベルティの制作、システム開発・運用、Web広告、そして今回お話しする動画制作など、多岐にわたるサービスメニューでクライアントの販促施策をサポートしています。

横井: 総勢三十数名の小さな拠点ではありますが、営業や制作、システム開発などの多様なスタッフが揃っており、多くの案件を支社内で内製できる体制ができています。

また、SDGs活動にも力を入れています。浜松市の海岸清掃や、障害福祉サービス事業所へのアルミ缶の寄付などを定期的に行っています。

浜松支社の海岸清掃の様子は、SDGs広報「つつつ」の記事をご覧ください
小さなことからコツコツと。浜松に広がる清掃活動の輪

浜松支社の動画実績

―――動画制作の実績について教えてください。
矢野: これまで制作してきたのは、Web広告やメルマガ用動画、サイト内に載せる店舗紹介やプロモーション動画、社員研修用の動画などです。動画単体での受注ではなく、浜松支社で受注した販促施策の中で使われるコンテンツとして制作しています。

横井: ほぼ浜松支社のメインクライアントである自動車メーカーやその販売店からの受注ですが、用品部や人事部といった複数の部署からご依頼をいただくので、動画のバリエーションは多種多様ですよね。

矢野: 先日は、車に設置できるテントの設営動画をスタジオを借りて撮影したりもしました。イラストや静止画を動かすアニメーション動画や、実写動画など、内容もさまざまです。

横井: 一方で、特定のクライアントとお付き合いしているからこそできているのが、Web広告用動画のフォーマット化です。カーディーラーのお客様向けに、どの店舗でも使える汎用性の高い動画をあらかじめ複数ご用意しているんです。

矢野: これは年間の予定を私たちが把握しているからこその強みですね。お客様がどの時期にどういった訴求を必要としているのか先回りして考えて、必要なものをご用意しています。お客様にとっても、私たちとしても、効率的な動画制作のサイクルができているんです。

動画制作のプロジェクト発足と、その背景

―――浜松支社で動画制作がスタートした経緯について教えてください。
矢野: 技術の進歩とともに車業界も激変の時代を迎えています。販促施策においても、やはりこの先、印刷だけでは厳しくなるのは確実でした。クライアントから頼られる集団になるためには、新たなスキルを身に着けていかなければなりません。

そこで浜松支社内に、動画・Web広告・3DCG・ノベルティ・業務全般の改善の各プロジェクトを立ち上げ、全員がどこかのチームに参加することになったんです。私と横井さんはこの動画チームに所属しています。

横井: その時点ではメインクライアントもまだ3DCGや動画というものにそこまで興味を示しておらず、先回りをして準備しておこうという感じでしたよね。ただ、すでに一部では3DCG画像が使われ始めていましたし、今のうちに対応できるようになっておかなければという危機感はありました。

矢野: さらにいうと多くの場合、販促施策はターゲットや内容に合わせてさまざまな手法を組み合わせて実施されます。かといって発注側が「広告はこの会社に、動画はこの会社に」と使いわけるのは非常に手間がかかりますよね。

販促施策の中の一部にでも私たちにできないことがあれば、そこが隙間になり、そこから失注してしまうおそれがあります。その隙間を埋めていこうという意識は印刷物中心にやっていたころからあり、それが今度はデジタルへと広がっていった形ですね。


―――新たなスキルを身につけなければならないと思うような、きっかけのような出来事があったのでしょうか? 
矢野: 特に何かあったというよりは、時代の変化に対する危機感ですね。ただ動画に関しては、浜松支社で初めて受注した動画制作の実案件がターニングポイントになりました。

横井: 浜松支社での動画制作の第一号ですね。車のカタログに掲載されている安全装備をよりわかりやすく伝えるための動画でした。イラストの車に向けてスマホをかざすと、スマホ上でイラストの車が走り出すという、ARアプリを利用した動画です。

やはり動きのあるものを伝えるには動画のほうが適しています。その少し前にARアプリを使った店頭イベント施策を実施しており、それがとても好評だったため、新たな仕掛けをしていきたいというクライアントの希望もありました。そこで動画の需要を再確認して、プロジェクトがスタートしたんです。

矢野: まだ動画の制作実績がなかったところに舞い込んできた実案件だったので、実は協力会社にお願いしようかという話もあったんですよ。でもそれではいつまで経っても成長しないので、社内でやろうということになりました。

もともと浜松支社の制作チームは、自分たちでやれるものは何とかやってみよう、というスタンスなんです。

P-MAX広告と連動することで、さらに動画制作が加速

―――プロジェクトがスタートしてからは、どのような活動をしてきたのでしょうか?
矢野: プロジェクトの発足当初は動画とWeb広告は別々で進行していたのですが、P-MAX広告が登場したことでチームが融合して活動が活発になり、実案件が増えてきました。

P-MAX広告は2021年末にリリースされたGoogleの広告商品です。もっとも効果が高い配信パターンをAIが学習し、YouTubeを含むGoogleの5大プラットフォームに自動で配信できます。

P-MAX広告は最初に静止画やテキスト、そして動画などの素材をセットしておき、AIがその中から自動で出稿していくスタイルです。せっかくだからと動画を入れてみたところ、なかなかいい結果が出ました。

横井: それまではYouTube広告は単価の高さもあってあまり扱っていなかったのですが、やはり動画による広告の効果は大きいですから、YouTube広告をやってみませんかとお客様に声をかけてはいたんですよね。1~2本出稿してみたあたりでP-MAX広告が登場したので、私たちとしてもちょうどいいタイミングでした。その後はP-MAX広告でYouTubeへの出稿が増えていきました。

ちなみにWeb広告の運用チームはその後、P-MAX広告で実績を積み重ねて、今年2023年7月に「diggin」としてスピンオフしています。

P-MAX広告の概要やdigginのサービスについて、詳しくはこちら
Web広告→実店舗への集客をより効果的に。O2O専業のWeb広告代理店「diggin」設立 | 西川コミュニケーションズ株式会社


―――Web広告における動画のメリットは大きいですよね。
矢野: やはりYouTubeという巨大なメディアに出稿できるのは、認知拡大を狙う上では大きいですよね。コネクテッドテレビ※での動画視聴が増えていることもあり、YouTube広告の影響は今後も大きくなっていくと思います。
※コネクテッドテレビ:インターネット回線に接続されたテレビ端末のこと

横井: 動画は、ながら視聴の人にも情報をお届けできるのもメリットですね。

そのほかにも
 ・文字や画像に比べて伝えられる情報量が多い
 ・ストーリーを伝えやすい
 ・記憶に残りやすい
 など、動画のメリットはたくさんあります。Webのコンテンツとして、動画が使えるというのは大きいです。

手探りで始まった、動画制作のスキル習得

―――イチからのスタートだったと思いますが、動画制作はどのように進めていったのですか?
矢野: 先にお話ししたAR動画の案件が舞い込んできたときには、本当に右も左もわからない状態だったので、最初は「どうする、どうする?」なんて言ってましたよね(笑)。とにかくYou TubeのHow to動画を見ながら手探りで制作していました。

横井: みんなで焦りましたよね。「誰がやる?」って(笑)。

矢野: 今から思えば、難しい動画ではないんですよ。ほんの10秒くらいのもので、イラストの車が走って止まるというシンプルなものでした。

横井: けれど当時はどうやってタイヤを回せばいいのかわからないし、車を前に進めることさえもできなくて。あれこれ調べてやってみて、タイヤがちゃんと思いどおりに回ったら「回った~!」って喜んでいたのを覚えています。


―――お二人は印刷物のデザインを長く手がけられてきたとのことですが、紙のデザインとでは勝手が違いましたか?
矢野: 動画制作に使うのはAdobe社のAfter Effectsというソフトです。印刷物のデザインで長く使ってきたAdobe Illustratorだったら簡単にできるようなことでも、After Effectsではまったくわからないという......。

テキスト入力のためのウィンドウがどこにあるのかわからなかったり、うっかり何か消してしまったらもう戻せなくなったり(笑)。ひとつひとつYouTubeで調べながらやるもどかしさといったら。

横井: プロジェクトがスタートした当初は常に動画の仕事があったわけではないので、次に案件が発生したときにはせっかく調べたことを忘れていたりもしましたよね(笑)。それなりに操作できるようになったのは、実案件が増えてコンスタントにソフトを触るようになった、1年後くらいのことだったでしょうか。

撮影やナレーションまでも内製化

―――自分たちでやれるものは何とかやってみよう、とのことですが、編集以外にも内製化している部分はありますか?
矢野: はい、なるべく自分たちで作るようにしています。絵コンテやディレクションはもちろんですが、最近では撮影やナレーションも自社スタッフでできるようになってきたんですよ。

―――それは既存のスタッフでということでしょうか?
矢野: そうなんです。例えば撮影は、もともと写真が得意なスタッフがいるため、その人に動画にもチャレンジしてもらっています。本格的にやりだしたのはまだ2022年、昨年からですね。

それまでは撮影が必要な案件はたまにしかなかったこともあり、必要な場合は協力会社に発注していました。ただこれもやはり自社内で撮れるのなら撮りたい、と。

浜松支社の動画制作事例。ディレクション、撮影、編集すべて浜松支社で完結しています。

―――ナレーションも内製とのことでしたね。これも既存のスタッフが?
横井: それは私を含めた支社の三人で担当しています。2022年に4か月間、浜松市内のアナウンススクールに週に一回のペースで通って学びました。

その三人でもう十数本は撮りましたね。NHKが出している「アクセント辞典」と格闘しながら、わからないところはアナウンススクールの先生に教えていただきながら、なんとかやっています。

Web広告の営業用に制作されたP-MAX広告の紹介動画。スタッフがナレーションを担当しています。


―――スクールに通ってまでというのは本格的ですね。なぜ自分たちでナレーションまでやろうと考えたのでしょう?
横井: やっぱり、Web広告にはナレーションがほしかったんです。けれど外部にお願いするとなると、費用はもちろんですけど手間もどうしてもかかりますよね。

制作期間が短いことが多いため、ナレーションを依頼して録音データをチェックして、修正があればまた撮り直してもらい......というやり取りが発生すると、こちらの負担も大きくなってしまいます。だったら、これも自分たちでできるようになったほうがいいのでは、と。

矢野: スクールに行く前にも1~2本撮ってたんですよね。今になって見ると、スクールに行く前と後ではすごく変わったなと感じますよ。

横井: そうそう、最初は独学でナレーションを入れてみたんですよ。でもやっぱり素人感があるということで、スクールに通うことにしたんです。


―――やはりスクールで学んだことで変わりましたか?
横井: 声の出し方や音程、アクセントがずいぶん変わりました。やはりきちんと学ぶと全然違いますね。

スクールでも制作会社の人間が習いにくるというのははずいぶん珍しがられましたし、ほかにあまりそんな会社はないとは思いますが、制作スタッフが持つにはいいスキルなのではないでしょうか。

案件によっては今後もプロに依頼することになるでしょうけれど、その際のナレーター選びに役立つと思っています。この人は発音がちゃんとしてるな、とか。正しいアクセントを使ってるな、とか。ある程度の判断はできるようになりました。煩雑なやり取りが減るだけではなく、品質の面でもメリットがあります。

NICOが目指す「多能工化」と浜松の「やらまいか」精神

―――お聞きしていると、本当にさまざまなことにチャレンジして、できることを増やしていますね。
横井: 浜松の「やらまいか」精神ですね。浜松の人の旺盛なチャレンジ精神を表した言葉です。浜松支社もまさしくそういう精神を持っていると思います。

矢野: NICO自体がそうですよね。ひとりの従業員がさまざまな業務をこなす「多能工化」は以前から求められていましたし、新しいことを学びたいという人がいれば会社としていろいろなサポートをしてくれます。

横井: 私は動画チームに入る前は、3DCGのチームでCG制作を学んでいたんですよ。その時の経験が、映像制作を立体で考えることに役立っていると思います。今ではさらにナレーションもできるようになったし、私もずいぶんマルチな人材になってきたと思うんです。自分で言うのもなんですけど。

矢野: マルチな人材ですよ、間違いないです。浜松支社にはそんなスタッフが多いんですよね。

今、NICOでは全社的にリスキリングの取り組みを進めています。浜松支社のプロジェクトはその取り組みとは別のところからスタートしていますし、当時はまだリスキリングという言葉は注目されていませんでしたが、新たな分野に挑戦するという意味では同じことだったのではないでしょうか。

浜松支社の動画制作における強みとは

―――そんな浜松支社の動画制作における強みといえば、どこになりますか?
矢野: やはりひとつは、販促施策をまとめてお任せいただけること。そしてもうひとつは、営業的な視点を持った制作スタッフが打ち合わせにも同行し、コミュニケーションをとりながら必要なご提案をさせていただくことでしょうか。

販促施策をトータルでサポート

矢野: Web広告やサイト制作などはもちろん、NICOの祖業であるカタログやチラシ、DMといった印刷物も含め、デジタルもアナログも横断した販促施策をまとめてご依頼いただけます。

先にもお話ししましたが、もともと販促施策の隙間を埋めていこうというのが浜松支社の姿勢です。販促施策をトータルでお任せいただけるというのは、強みであり目標でもありますね。

横井: 販促施策をまとめてお任せいただければ、いろいろな制作物のデザインやコピーを使いまわすこともできます。作業の効率化になるのはもちろんなのですが、コンセプトやデザインの統一がしやすく、制作物のクオリティを高くキープすることにもつながると思います。

営業目線を持った制作スタッフがクライアントをサポート

矢野: 私たち制作スタッフも営業的な目線を持っていることも大きいと思います。打ち合わせの段階から営業に同行し、こんな動画にしていきませんかとご提案しながら、ディレクションから編集まで一括して行っています。

横井: 効果の出る動画にするにはどういう作りにするべきか、そういうことをちゃんとクライアントにお伝えしながら制作を進めることを心がけていますが、それも制作スタッフがクライアントとコミュニケーションをとりながら制作を進めているからですよね。

例えばYouTube広告では最初の5秒でスキップされてしまう可能性があるので、伝えたいことは最初に伝えることが必要です。でも、クライアントはやはりあれもこれも入れたいとおっしゃることもあります。そういう場合、盛り込み過ぎないようにしたほうがいいですよということをきちんとお伝えすることは、私たちの仕事であり、課題だと思っています。



ますます重要性を増す動画と、浜松支社のこれから

―――販促施策における動画は、今後どうなっていくと思われますか?
矢野: 5Gの普及により動画市場はさらに拡大しており、動画広告やSNSでのライブ配信など、動画視聴はますます身近なものになっています。生活の中に動画がいつもある時代はすぐそこにまできているのではないでしょうか。

これからは見せるだけの動画ではなく、ARやVRも絡めた動画が増えていくのではと思ってます。仕掛けのある動画でサイトへのアクセスを促すなど、動画を運用するという考え方が主流になりそうです。

横井: 浜松支社としてもいろいろな動画にチャレンジしていきたいですね。digginの活動が広がってP-MAX広告の受注が増えることで、クライアントの幅も広がっていくと思いますし。

―――では最後に、浜松支社の動画チームの今後についてお聞かせください。
矢野: 動画チームとしては「企画から編集まで、動画ならNICOに任せておけば大丈夫」と言っていただけるようになるのが目標です。

とはいえ、今やYouTubeの15秒広告くらいなら、誰だって作ろうと思えば作れます。動画制作の専門会社と品質で張り合うのは難しいとも思っています。もともと販促施策の隙間を埋めていくという姿勢から生れているプロジェクトですし、今後も動画を単体で考えるのではなく、販促施策の中の重要なコンテンツとしてよりよいものを作っていきたいです。

横井: Web広告代理店としてスピンオフしたdigginのように、浜松支社内ではさまざまな取り組みが進んでいます。BPOやシステム開発といった業務も活発です。浜松支社全体で成長しながら、お客様の販促施策のトータルサポートをより強力に進めていきたいですね。

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矢野泰司

西川コミュニケーションズ株式会社
浜松支社 浜松制作部 リーダー

2008年NICO入社、主に自動車メーカーの販促物全般のディレクションに携わる。浜松支社の目指す多能工化の実現に向け「動画制作」を開始。現在は動画制作のディレクション及び編集なども担当。

横井惠理子

西川コミュニケーションズ株式会社
浜松支社 浜松制作部 ディレクター

2013年NICO入社、大手自動車メーカーの販促物を企画からフォトレタッチ、製版まで幅広く従事。新規事業プロジェクト推進のためプログラミングや3DCGを学習。現在は動画制作やナレーションも担当。