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Web広告→実店舗への集客をより効果的に。O2O専業のWeb広告代理店「diggin」設立
Web広告を見た人のうち、実際にどれくらいの人数が店舗に来店してくれたのか? 来店者数は、デジタル施策により効果的な店舗への集客を行うための第一歩となる指標です。しかし従来型のWeb広告だけでは来店を計測する指標がなく、きちんと把握できていないという企業が多いのではないでしょうか。
西川コミュニケーションズでは、実店舗を持つ企業の販促施策やマーケティングのサポートを進める中で、集客に特化したWeb広告を実現してきました。その実績をもとに、グループ会社として設立されたのが、Web広告代理店「diggin(ディギン)」です。集客に特化したWeb広告の仕組みとそのメリットについて、digginの代表取締役 社長 川村起市にお話を聞きました。
実店舗を持つ企業が抱える、Web広告の課題とは
―――なぜ、実店舗を持つ企業向けに特化したWeb広告が必要なのでしょう?
川村: 消費者へのアプローチとしてデジタル施策が主流となった現在において、Web広告はどの企業にとっても重要なものです。O2O※への注目度も高まり、販売店や飲食店、クリニックといった実店舗を持つ企業でも、来店誘致の施策としてWeb広告を利用されている企業は多いですよね。
しかし、実店舗の場合、ECサイトなどと違って、Web広告にどれだけの集客効果があったのかがわかりづらいという問題があるんです。
※O2O:Online to Offline。オンライン=Webからオフライン=実店舗へ誘導し、購買へとつなげるマーケティングの手法。
―――集客効果のわかりづらさの原因はどこにあるのでしょう?
川村: 通常、Web広告は広告をクリックした先のランディングページ(企業のサイトやキャンペーンの特設ページなど)に、効果指標となる計測ポイントが設定されていますよね。どれくらいの人数が広告からそのサイトに遷移したのか、その人たちがサイト上でどんな行動をとったのかなどを計測して、広告の効果を測っているわけです。
これがECサイトなら話は簡単です。広告経由でやってきたユーザーからどれだけの売り上げが上がっているのか。新規の受注1件あたりにどれほどのコストがかかっているのか。集客から売り上げまでがWeb上で完結しているため、広告の費用対効果が明確に数字で把握できます。
ところが、実店舗をもつ企業となると、費用対効果の計測に必要なのは店舗への来店者数です。Web上の計測ポイントだけでは、広告を見た方のうち何人が実際に店舗に来てくださったのかまではわからないのです。
―――来店というリアルな行動が、Web上では計測できないということですね。
川村: とはいえデジタル施策を何もしないわけにはいきません。結果として、正確な集客効果が見えていないのにも関わらず、「効いているだろうから続けよう」というような消極的な運用になってしまっている企業が少なくないのです。
もちろん、実店舗を持つ企業でも、指標を定めてしっかり計測されているところもあります。ただその場合もやはり成果指標はサイトの閲覧数やお問い合わせ数などであり、店舗への集客効果までは正しく把握できていないのではないでしょうか。
実店舗を持たない企業と同じ、Webサイト閲覧への誘導&Webフォームのコンバージョン取得という手法では、デジタル施策と実際の集客の間にどうしても溝ができてしまうんです。
―――その溝を超えるために、O2Oに特化したWeb広告が必要ということですね。
川村: まずは「どの施策によって」「どの時期に」「どの店舗に」「何名」来店誘致できていたのかまでを見える化することが重要です。そのうえでさらに広告を最適化していくことで、来店単価を指標とした、実店舗での集客強化に直結するデジタル広告施策が実現するのです。
私たち西川コミュニケーションズ(以下、NICO)が進めてきたO2O向けのWeb広告は、この見える化と最適化を柱としています。
見える化を実現する「Google来店計測」
―――見える化のためにはどんなことをしてきたのでしょう?
川村: 第一歩は、やはり実際にどれくらいの方が店舗に足を運んでくださったのかを計測することです。そこでお勧めしてきたのが「Google来店計測」です。
Google来店計測
広告をクリックした人がその後に来店したかどうか、スマートフォンのトラッキング※により計測するサービス。高い精度で来店者数を把握することができ、来店一人あたりにかかったコスト、つまり「来店単価」を見える化することができます。
※トラッキング:行動を継続的に追跡し、分析すること。
- 従業員や通行人とみなされた人数はカウントから除外されます。
- 広告をクリックしていない、見ただけの人も計測可能。
- Googleが定める厳しいプライバシー保護基準をクリアしたユーザーをベースに、欠落データを推定で補いながら来店者数をカウントします。
―――来店単価がわかることで、広告の集客効果も見える化することができるわけですね。
川村: ただこのサービスを利用する上で大きなハードルとなるのが、広告予算。一定金額以上の広告出稿がなければ計測ができないのです。
来店計測が取れるようになる閾値は来店単価によって変動しますが、例えば自動車ディーラーの場合では、広告予算で月に数百万円。店舗数が多い企業や、十分な予算がかけられる企業ではすでに計測をしているかとは思いますが、一般的にはかなり高いハードルです。
―――広告予算が潤沢な企業でなければ、来店計測はできないのでしょうか。
川村: 予算の関係で来店計測を見送ってきた企業は多いのではないでしょうか。ただこの閾値は、クライアントごとや広告ごとのものではなく、Googleの広告アカウントごとのものです。つまり、同一のアカウントで複数の広告を出稿し、その全体量で閾値を超えていれば、計測が可能になります。
NICOでは、自社が保有するアカウントに複数のクライアントを束ねて出稿することで、この予算ハードルをクリアしてきました。
―――では、どの企業でも来店計測が可能なのでしょうか。
川村: スタートまでに多少のお時間をいただくこともあるかもしれませんが、今後も同様の方法でクリアしていく予定です。来店計測の結果をもとに費用対効果を見て、PDCAを回していくことは非常に重要なので、ぜひご利用いただきたいです。
なお、このGoogle来店計測は、ユーザーのスマートフォンから取得するロケーション履歴の情報をもとに計測をしています。そこで必須となるのが、Googleビジネスプロフィールとの連携です。
NICOではこのGoogleビジネスプロフィールも活用して、さらに来店誘致の効果を高めることをお勧めしています。
より来店効果を高める「Googleビジネスプロフィール」
―――Googleビジネスプロフィールとは、どのようなサービスなのでしょう。
川村: Googleでお店などを検索した際、検索結果のページにお店の外観やメニューなどの情報が表示されますよね。あれはGoogleがお店のサイトなどから自動的に情報を収集して制作した無料の表示領域です。
このGoogleビジネスプロフィールの位置情報がスマートフォンのトラッキングと組み合わされることで来店計測が可能になるため、Google来店計測の利用にはGoogleビジネスプロフィールとの連携が必須です。
Googleビジネスプロフィールの表示例
そしてこのGoogleビジネスプロフィールは、来店に際してたいへんな影響力がある情報です。逆に不適切な情報が掲載されていると、来店へのボトルネックになりやすいところでもあります。
―――不適切な情報とはどういったものでしょう。
川村: メンテナンスをしない限りは自動で収集されるものですので、誰かが撮影したよくわからない画像が使われていたり、定休日や営業時間などの大切な情報が間違っている場合もあるんです。また悪意のある第三者がデータの改ざんを行い、フィッシング詐欺に使われた事例もあります。
アカウントに紐づけするだけで来店計測は可能ですが、きちんと店舗の魅力を伝えていくにはここのメンテナンスも重要です。私たちはこのGoogleビジネスプロフィールの活用も、サービスとして提供しています。
Googleビジネスプロフィールの活用サービス例
・日々更新される店舗情報の一括管理/メンテナンスの代行
・店舗のイベント情報やお知らせの投稿
・写真・360度インドアビュー・動画の投稿 など
―――店舗の魅力を発信する場として活用していけるのですね。
川村: 当社のクライアントにご協力いただいて、ビフォーアフターの効果計測をしたことがあります。自動収集された情報のみの状態から、写真や情報を投稿して手を加えたあとで、来店率がどう変わったかを計測したところ、もっとも大きく変わった店舗で40%ほどの伸びを確認しました。影響の大きさを実感しましたね。
私たちはすでに500店舗以上のGoogleビジネスプロフィールを管理しており、Google来店計測と合わせて高い来店誘致効果を実現してきました。
そして、この来店誘致の見える化に加えてお勧めしているのが、P-MAX広告による広告配信の最適化です。
来店誘致をAIで最大化する「P-MAX for store goals」
―――P-MAXとはどういったものでしょう?
川村: 2021年末にリリースされたGoogleの広告商品で、従来からあるローカルキャンペーンを大幅に刷新したものです。我々は、ディスプレイ広告の上位互換として積極導入しています。P-MAXの中にも複数のメニューがあり、中でも「P-MAX for store goals」は圧倒的で非常に効率の良い来店誘致を実現できる広告になっています。
大きな特徴は、Googleの5大プラットフォームをまたいで配信できること。そしてもっとも来店確率が高い配信パターンをAIが学習し、自動で配信できることです。
これにより、従来は点でしか捉えることができなかったユーザーを面として捉えることができ、来店に向けた最適な広告配信が可能になります。
P-MAX for store goals
特徴①5大プラットフォームをまたいだ配信
検索、ディスプレイ、YouTube、Googleマップ/Googleビジネスプロフィール、GmailといったGoogleの5大プラットフォームをまたいで広告を配信できます。広告掲載面が大幅に拡大します。
特徴②最高峰のAIによる、来店に特化したターゲティング
どのプラットフォームにどの広告を表示させるべきか、「もっとも来店確率の高い配信パターン」をAIが学習し、自動で広告を配信します。
P-MAX配信パターンの学習イメージ
―――適したプラットフォームを自動で選択してくれるのですね。
川村: 従来のGoogle広告では、プラットフォームごとに個別に出稿していますよね。カスタマージャーニーのそれぞれのタッチポイントに合わせて、このプラットフォームにこの内容の広告を表示させようと狙ってひとつずつ設定しています。
対してP-MAX広告は、AIが最適と判断したプラットフォームに、あらかじめ用意しておいた素材を組み合わせて広告を表示させます。カスタマージャーニー全体に網をかけて、ユーザーが情報を欲するタイミングに自動で広告が出せるんです。
そして例えば最初に動画で興味を持ってもらい、最終的にGoogleマップで来店へと促すといった配信パターンの効果が高いと判断されれば、そのパターンで配信していく。ユーザーの興味度合いに応じた情報提供を行うという、ナーチャリング的な要素もAI機械学習が担っているわけです。
―――そういったパターンを見つけるのは、人力ではたいへんな手間がかかりますね。
川村: 最高峰のAIを持つGoogleならではのサービスですね。だから広告運用を強みとしてきた広告会社としては、危険なプロダクトでもあるんです。運用はAIにお任せなので、企業自らがGoogleと契約してしまえば、広告代理店は不要ではないかという危機感もあります。
―――なのになぜ、NICOではこのP-MAX広告を提供してきたのでしょう?
川村: NICOではすでに全国の新車ディーラーでのWeb広告定常配信を実施しており、膨大な広告接触⇒来店計測データを蓄積しています。その質の高いビッグデータをP-MAX広告に組み込むことで、より精度の高い広告配信が可能となります。このデータ活用手法こそが当社の強みなんです。
さらに各種のデータ活用サービスとも組み合わせて、
AI機械学習を強化させる「Googleカスタマーマッチ」&「GA4リマーケティング」
―――どのようなデータ活用サービスがあるのでしょう?
川村: NICOでは以下のサービスをP-MAX広告と組み合わせて運用し、すでに実績を上げています。
Googleカスタマーマッチ
自社が保有する個人データを広告配信に利用する、Google広告のターゲティング機能のひとつ。例えば企業が持つ顧客リストをGoogle広告に取り込んで、よりパーソナライズされた広告を配信していくことができます。
GA4リマーケティング
Webサイトのアクセス状況を分析できる「Googleアナリティクス」のオーディエンスデータを広告に取り込むことで、より精度の高いターゲティングが可能になる機能です。
企業内には質のいいデータが豊富にあるのに、うまく活用されていない場合が非常に多い印象です。Googleアナリティクスも多くの企業が導入しており、せっかくデータが蓄積されているのに、サイト計測以外のことに活かせている企業がどれほどあるでしょう。こういったデータを広告と共有し、
またこれは、サードパーティデータの規制に伴って、ファーストパーティデータの活用が重要になるという文脈の話でもあります。
―――cookie規制の対策でもあるんですね。
川村: P-MAX広告はもともとサードパーティcookie規制を回避する形で登場した広告商品と言われています。従来のディスプレイ広告において多用されてきた手法、いわゆるリマーケティングはサードパーティcookieを利用していますが、P-MAX広告で利用するプラットフォームはGoogleの自社媒体であり、ファーストパーティデータをベースとした多様なオーディンスシグナルをAI機械学習と組み合わせて、
cookie規制を前に、 Web広告の配信方法は変化を迫られています。この流れの中で、
O2O専業のWeb広告代理店「diggin」設立
―――以上のような実績をベースにして、新会社の設立となったのですね。
川村: これまではNICO社内の一部署でO2O向け広告を取り扱ってきたのですが、2023年7月にO2O専業のWeb広告代理店「diggin(ディギン)」としてスピンオフしました。
掘る、発見する、探究するという意味の「DIG」。その現在進行系である「digging」の略語を社名としました。お宝を掘り当てる採掘者集団でありたいという思いと、デジタル広告事業を泥臭くも深掘りして進めてきた、我々のスタンスを象徴的に表現しています。
実店舗を経営する多くの企業と向き合ってきた実績、そして最新のテクノロジーを活用することで、集客につながるソリューションを提供していきます。
―――特にこの業種、といった得意分野はあるのでしょうか?
川村: 実店舗を持ち、来店型のビジネスをされている企業ならば、業種は限定していません。想定でいえば、新車ディーラー、中・小規模医療機関、クリニック、不動産(住宅展示場・マンションモデルルーム)、飲食店(中~小規模チェーン店)、小売り・流通業界などですね。
先にもお話ししましたが、私たちは複数の企業を束にすることで来店計測の予算ハードルを超えてきました。今後もそのやり方は継続していきますので、今まで予算の面から来店計測を諦めてきた企業にも、ぜひ興味を持っていただきたいと思っています。
来店単価を指標とした、集客強化に直結するWeb広告施策にご興味のある方は、下記問い合わせフォームからお問い合わせください。
GoogleおよびGoogleロゴおよびGロゴ、Google検索およびGoogle検索ロゴ、YouTubeおよびYouTubeロゴ、GoogleマップおよびGoogleマップロゴ、GmailおよびGmailロゴ、GoogleビジネスプロフィールおよびGoogleビジネスプロフィールロゴは、GoogleLLCの商標または商標登録です。
O2Oに特化したWeb広告について、お問い合わせはdigginサイトからどうぞ
お問い合わせ川村起市
株式会社diggin 代表取締役 社長 前職では家電系ISPでポータルサイトの媒体開発・マネタイズ業務に従事。 NICO入社後は、主に自動車業界の得意先を担当しながら、新規事業の立ち上げを推進。
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